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今回が、「金融基礎知識シリーズ」の最後となります。

 

いざ交渉の場へ

融資交渉のスタートは、銀行の支店担当者に電話等でアポイントを取り、指定された時間に銀行へ向かうことから始まります。ローン事業部は土日でも営業をしているため、勤務が休日の時を見計らって、気持ちよくスタートを切りましょう。

融資交渉の場には、必ずしも一人で行く必要はなく、事業計画を一緒に作る税理士や開業コンサルタントなどの専門家がいれば、同行してもらうこともありえます。銀行側も、専門家が付いていることを好意的に受け止める場合もあります。

ただし、提出する書類の内容については、基本的にドクター自身が行わなければなりません。細かい部分で専門家から補足してもらい、ドクター自身が経営者であることを印象付けるようなスタンスで臨むことが大切です。

 

初回は大枠をつかむ

初回から全てを詳細に詰めることはできないので、担当者の雰囲気や反応を確かめ、今後の進め方など大体の感触をつかめれば、それでOKです。

二回目に、こちらが設定する担保に対して融資が可能な「金額上限」を確認して、具体的な交渉に入ります。設定した担保の価値を銀行側がどの程度評価してくれるかで、融資金額が変わるため、計画もそれに大きく左右されます。

したがって、担保価値の評価でどの程度の融資が可能か、その感触を早い段階で把握することが次の大きな一歩となります。

そのため、前回の記事でご紹介した経営基本計画書を始めとする詳細の書類は、融資可能な上限金額がはっきりしてから提出するつもりでいても構いません。初回は担保明細のみでも、話は進みます。

連帯保証人についても、特に詳しく説明する必要はなく、銀行側が融資の条件として尋ねてきた段階で詳細を明らかにすることで、足ります。

交渉を進める上では、次の機会までに

・誰が

・いつまでに

・何を

・どのようにするのか

これらをクリアしてから臨みましょう。

 

担保が不足する場合

仮に、5,000万円の土地を新たに取得して開業しようと計画している場合、担保価値はどれくらいになるでしょうか?

一般的に、不動産の場合は「取得額の60%程度」と思って交渉に臨むと、思い違いや意見の食い違いが少なくて済むとされます。この掛け率を「担保掛目(たんぽかけめ)」と言います。

5,000万円に対して、6掛けの3,000万円(5,000万円×0.6)で考えると、差額の2,000万円は担保不足となり、この金額を自己資金で補うか、別の担保を設定するなどの必要があります。

あるいは、県の「信用保証協会」など公的機関を利用する方法もあります。この時、信用保証協会に直接保証を申し込むこともできますし、銀行を経由して申し込む方法もあります。銀行側は、信用保証協会の保証が取れれば、担保を完全なものとして融資を進めます。

その他、リスクがあるためあまりおすすめはしませんが、無担保事業ローンを組むこともあります。ただし、金利が高めになるため、収支計画に影響が出る可能性があります。

晴れて融資が決まって資金の見込みが立てば、後は事業計画に沿って詳細を詰めていき、いよいよ次のステップに進むことになります。

 

金は天下の回り物

どれだけ理想を思い描いても、高い技術力を持っていても、たとえ優秀な人材が周りにいたとしても、結局は資金がなければ何も実現できません。資金は、医院経営においても、ドクター自身の人生においても、それが全てではないにせよ、非常に重要な役割を果たします。

ただ、何かとうまく行かず、仮に今がそのタイミングではなかったとしても、「金は天下の回り物」ということわざがあるように、真摯な態度で仕事に取り組む姿勢を持っていれば、必ずめぐりめぐってお金が自らの手元にやってきます。

今だけを考えずに、長い目で先を眺めることで、おのずと道は開けるのではないでしょうか。

 

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