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今回は「資金計画シリーズ」の第4回目「資金調達」です。

 

開業資金をどのようにまかなうか?

前回の記事でご紹介したとおり、開業のパターンや状況によって異なりますが、少ないパターンで5千万円、土地や建物を自己所有で考える場合は1億2千万円程度と、個人で考えると多額の初期投資が必要です。

しかし、勤務医の方の場合、平均的に自己資金として捻出できる金額は2,000万円程度と言われています。

したがって、自己資金と必要資金の数千万円以上の大きなギャップを埋めるために、いかに資金を調達するかが課題となります。

一般的に、資金調達は自己資金活用を除いて、次の3パターンが考えられます。

① 金融機関(公的・民間)から融資を受ける

多くの開業ケースでは

「福祉・医療機構」

「国民生活金融公庫」

「日本政策金融公庫」

などの公的金融機関を優先的に利用して、不足分を民間の銀行、信用組合、リース会社からの融資を見込んでいるようです。

融資条件は事前に線引きが決まっているパターンが多いため、開業しようとしている地域や計画が適当かどうか、ホームページで調べるか直接問い合わせると早いです。

 

② 親や親せき筋から

関係が良好であれば、親や親せきから資金援助を受ける方が安心と言えます。

ただ、安易に現金の受け渡しを行うと、何かの拍子でその事実が判明した場合に「贈与」と見なされて課税されてしまうケースも考えられます。したがって、証文(契約書や覚書)を残すか、銀行の口座を経由して貸借の証拠を残しておくべきです。

いずれにしても、「金の切れ目が縁の切れ目」とならないよう、しっかりと返済計画を立てて返済条件まで落とし込んでおくことは重要ではないでしょうか。

 

③ リースを活用する

開業資金全部というよりも、やや高額になりがちな医療機器や、システム等の初期費用をまかなう手段としてリースが考えられます。

リース会社は、物を貸す「レンタル」をする会社とよく誤解されがちですが、リース会社も一種の金融機関で、銀行と同じです。リース契約は購入費用の一括支払とは異なり、一度に多額の資金がかからずに月々の支払に分けられるため、負担意識が軽くなりがちですが、無計画にリースばかり増やしてしまうと資金繰りを圧迫して、医院経営に支障をきたす場合もあります。

 

資金調達の例

仮に、次のようなケースを考えてみましょう。

自己資金:2,000万円

土地・建物費用:8,000万円

医療機器・什器・備品費用:2,000万円

運転資金(人件費・広告費等諸経費+当面の生活費):1,000万円

このような場合、自己資金をどう使うかがポイントとなります。

2,000万円をすべて使ってしまうと生命線である運転資金がなくなってしまうため、半分は運転資金に充てることを考えます。

医療機器等は自己資金を充てるか、リースですべてまかなうことが考えられます。自己資金を充ててしまうと、残りの金額で融資を受ける際に頭金がなくなってしまい、融資交渉が厳しくなることが考えられます。

したがって、多少割高になってもリースでカバーして、残りの8,000万円-1,000万円=7,000万円を金融機関から資金調達することを計画し、一度金融機関に問い合わせてみることになります。

金融機関から「自己資金が少なく、担保を追加するように」と言われた場合は、別の不動産を提示するか、信用保証協会に保証料を支払って保証を取り付ける、あるいは、無担保融資制度の活用など様々な道を模索することになります。

 

収支のバランスが重要

ある程度、調達の目途がついた場合、月々の返済額+リース料などを踏まえて収支計画を立てます。

この時、常にマイナスが続いて返済が過度の負担になる場合、倒産するために開業するという本末転倒な状況に陥ってしまいます。

資金繰りをよく考え、バランス良く投資と調達、開業後の収支を慎重に考えて行きましょう。

 

次回は、「収支計画」についてお届けします!

 

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